浜辺の落書き

思いつきで更新していきます。浜辺の落書きのようなものなのでお手柔らかにお願いします。

意識を失った話

こんにちは!!!!しずなみです!!!!!
実は先日、意識を失いました!
どのような感じだったか、とりあえず説明しようと思います。










「ピッ…………ピッ…………ピッ…………」

 聞き慣れない音で目が覚める。

 目を開けると見慣れない天井が……と言いたいところだが、視界はぼやけている。何があるのかも、なぜ視神経にブラーがかかっているのかも、よく分からない。

 全体的に白っぽい部屋。一定の周期で刻まれる電子音。
 意識はまだ朦朧としていたものの、自分がどこにいるのかはすぐに分かった。ここは病院だ。

 その次に「なぜ自分がここにいるのか」という問いにたどり着く。病院のベッドで寝ているなんて、心身ともに健康であればありえない話だからだ。

 なお、これについてもすぐに理解することができた。
 直前まで飲み会で蟒蛇のごとく酒を飲んでいたからだ。私の顔は、今度は蟒蛇に睨まれたかのように青くなってしまった。

 酒の飲みすぎで病院に連れていかれた。この事実だけでも、周りに迷惑をかけてしまったという罪悪感が募る。店を汚していないだろうか。ちゃんとお金は払ったのだろうか。楽しいはずの飲み会に水を差していないだろうか。

 私の目覚めに気づいた看護師が大きな声で尋ねる。
 「ここがどこだかわかりますか!!」
 「アッ……病院でつ……!」
 そんなの決まってるじゃないか。
 「どこの病院ですか!!」
 この質問に、私は及び腰になった。意識がなかったのだから、そんなこと分かるわけがない。
 「分かりません……」
 「ここに来る前、どこにいましたか!!」
 「アッ…それならX駅の近くで飲み会をしていましたぁ……」

 私がコミュ障であるゆえに、看護師の発言と私自身の発言を区別しやすくなるのは思わぬ誤算だった。今後は自分がコミュ障であることを感謝して生きていこうと思う。

 それはさておき、無事に看護師から病院名を告げられたため、病院の名前は分かった。

 深夜帯だったこともあり、とても眠い。うつらうつらしている私の腕から、看護師は手際よく点滴のチューブを抜く。しかも両腕。
 病弱だった幼少期に、体調不良で点滴をしたことは何回かあったが、さすがに両腕にしたのは初めてだ。点滴界の大谷翔平になったのは恥ずべきことだが、少し珍しい体験ができたと思う。

 作業を終えた看護師は再び私に話しかける。
 「実家暮らしですか!?」
 「アッ……はい……」
 「家に電話をしてください!!」
 こう言って私の携帯電話を差し出してきた。ぼやけた視界の中、どうにか家の電話番号を打ち込み電話をした。
 「アッ……もしもし……息子だけど」
 「あれどうしたの」
 「飲みすぎて……倒れちゃって……」
 意識が薄いので、上手く言葉が出てこない。

 看護師に携帯電話を取り上げられた。彼女が何を話していたのかはよく覚えていないが、酒を飲みすぎて病院にいるので迎えに来てほしい旨を伝えていたと思う。

 看護師から携帯電話を返却され、再び親と通話した。とても心配された。電話を切ったあとまた記憶が途絶えたので、多分眠りに落ちたのだろう。



 次に脳内に残されている記憶は、霞んではいるものの、どこか温かみを感じられる人影だった。両親が迎えに来たのだ。

 こう書くと、病人と両親が苦労の果てに再会したような、どこか感動的なストーリーに思えるかもしれない。


 だがちょっと待って欲しい。病床に臥しているのは、金曜だからと調子に乗って潰れた飲んだくれ野郎だ。もう大人だというのに深夜に親をたたき起こしてタクシーで病院まで迎えに来させているのだ。
 「親が迎えに来てくれて嬉しい」というよりは、「早く寝たい」「申し訳なさすぎる」といった思いが大きかった。つらい、苦しいといった感情が強すぎて他の感情が抑制されている。
 感動的なストーリーなんてものはここには存在しない。


 なお、視界のぼやけの原因は、メガネの非着用によるものだった。これに気づいたのは翌日。極限状態の人間は、弱い。


 親が病院に着いたところで、私は看護師からトイレに行くよう促された。別に出るものもないので「行きません!」と抵抗したものの、会えなく失敗。強制的に放尿する羽目になった。たしかに帰宅途中のタクシーで漏らされては困るし、今思えばこれが正解なのかもしれない。
 そんなこんなで深夜1時とか2時とかそれくらいに退院。無事帰宅となった


 先日の旅行で東シナ海を船で横断した際、私の三半規管は非常に敏感であることが判明した。少しのことで直ぐに酔ってしまう。
 同じことが酔った時や風邪を引いた時にも言えるらしく、緊急搬送の翌日は常にふらふらであった。頭を地面につけさえすれば気持ち悪さは収まるものの、立ち上がった瞬間頭がぐわんぐわんする。ただここまで乗り越えれば普通の二日酔いとは変わりはない。なぜか身体が痛いことを除いて。とりあえずひたすら寝ていれば問題ない。

 しかし、ここに来て私には不安があった。飲み会の仲間に迷惑をかけてしまったり、店を汚したりしてはいないかという不安である。これだけは皆に会ってみて謝罪をするしかない。幸運にも翌週には全員と会う機会があったので、グループLINEで謝罪をした。日曜日には二日酔いも無くなっていたので、改めて菓子折を買いに行ったのだが、その帰りに友人とばったり会ってしまった。彼らにそそのかされるがままにラムコークを1杯飲んだ私に待ち受けていたのは、頭痛だった。もう二日酔い明けに絶対に酒を飲まないと誓った。



 週明けの月曜日。
 私は菓子折を持って陳謝した。参加者はみな心優しかったので、私の愚行をすぐに許してくれた。

 どのような感じだったか聞いてみたかったが、さすがにそんなことは怖くて聞けなかった。聞きたくなかった。そんな私の思いをよそに、しばらくしたら皆「あのときは〜」などと話をしてくれるようになった。勘弁してくれ。



 私が緊急搬送されたのは、勘定の後のことらしい。私には飲み会終了1時間前には記憶が終わっているのだが、なぜタイムラグが発生してしまったのか。
 答えは私が気を失っていた場所にあった。

 勘定時になって、おそらく誰かが一人足りないことに気づいたのだろう。私捜索隊がその場で発足した。
 私が消滅する前、物静かな私が大声で「シンデレラガール総選挙*1は遊佐こずえに投票お願いしまあす!」とか喚いていたらしい。その他様々な奇行から鑑みて、泥酔して別の場所で倒れていると判断された。
 でもなんてことを大声で言ってんだ私。さすがにオタクでも少しくらい恥じらいを持った方がいい。あとなんでこんな時に限って流暢に喋れているんだ。もっと他に流暢に喋るべき時があるだろう。

 話を戻す。捜索隊がどこを探しても私を見つけられなかったが、ひとつだけ閉まっているトイレがあった。上から覗き込むとかいう犯罪ギリギリ行為の結果、私は発見された。
 発見場所と自分の記憶から、次のようなことが判明した。私は飲み会中に自身の身体の異変に気づき、ふらつきながらも自らトイレに向かった。そして手水社の竜のごとく気を失いながらも無限に吐き続けたことが発覚したのだ。店を汚さない配慮ができたところだけは褒めてもらいたい。

 仲間から大声で呼びかけられたので、意識が朦朧としながらも私はトイレの鍵を開けた。すぐさま仲間に引きずり出され、店前に打ち上げられた鯨のように横たえられ、無事搬送された。
 なお、この時にだいぶ荒々しく運ばれたようで、体の節々がとても痛かった。1週間くらいは膝と踵の痛みが取れなかった。急性アルコール中毒はいいことが一切ない。
 搬送先でも吐き続けて数時間、日付が変わる頃になってからやっと目を覚ました。それがこの記事の冒頭部分だ。



 今回は幸運にも全員私のことを許してくれた。だが、私の行いが消えることはない。参加者全員が私と知り合ってまもないのも災いし、私がこのような人間だというように思われてしまった。ひと月くらいはさんざんネタにされまくった。
 ある意味美味しかったが、「酒飲みすぎんなよ?」という無言の圧力だけはとてもつらかった。そんなことは本人が1番わかっているし、もっと言えば酒を飲む気にすらなれない。







 あれから1ヶ月以上は経ったが、全然酒を飲まなくなった。総量にしてビール2リットル分のアルコールを摂取したかどうかというレベルだ。昔はあれほど酒が好きだったはずなのに、どうしたものやら。




余談
飲み会代は参加者が勝手に財布から抜き取って払ってくれたようです。後日いろはす代の110円が請求されたので払いました。
医療費はだいたい6000円とか。看護師が財布から保険証などを出して診察券を作ってくれました。親のタクシー代が8000円。たけえなタクシー。
あとこういう時のために、自宅への連絡先を財布に入れておくのをおすすめします。

*1:スマホゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」及び「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」での投票イベント。筆者は遊佐こずえに1000票投票した。ボイスがつくことが確定したので今から楽しみです。